108本ノック

煩悩をくすぐられたものを紹介していきます

煩悩19:タダ飯を食べたい!

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「働かないで食う飯はうまいか?」

みたいな言い回しがあるけど、断言しよう。

 

絶対うまい。

 

先日、友人が僕にバイクを売ってくれることになったが、めんどくさくて断ってしまったところ、下記のバイク買取業者に見積もりに出したら僕に売るつもりだった額より5万円も高く売れた、ということがあった。

 

バイク買取|バイク買取専門店バイクワン

 

そこで、何としてでも5万円を取り返すべく、僕は彼を飲みに誘った。

 

 

奢ってもらうためのテクニックは予習済みだ。

Googleで「おごってもらう テクニック」で検索したんだけど、女性が男性に奢ってもらうテクニックしか見つからなかったので、これを応用することにした。

  • おだてる
  • とにかくおだてる
  • 少し甘えてみる
  • 上目づかい
  • 財布を出して払おうとするそぶりを見せる

僕がやってしまったら気持ち悪いのばかりじゃないか。

  • おだてる
  • とにかくおだてる
  • 少し甘えてみる
  • 上目づかい
  • 財布を出して払おうとするそぶりを見せる

というわけでこんな感じでいくことにした。

 

友人と某駅前で待ち合わせ。

時間に2~3分遅れて到着する友人。

そのわずかな遅れは何なんだよといつも思う。

 

奢ってもらうので、いつもよりちょっといい感じの飲み屋に入る。

 

僕「もう別にお前と話すことないな」

友「な」

 

一言目の会話がこれだ。

まあそれでもなんだかんだ話すことがあるのが古い友人ってものだけど。

店に入りとりあえず注文した生ビールで乾杯。

ビールはいつだってうまい。

おっと、忘れるところだった。

  • おだてる

今日は目の前のコイツをおだてないといけないのだ。

 

が、困ってしまった。

 

褒めるところが何にも無いぞ……

 

僕とコイツの間にある生ビールだったらいくらでも褒めれるんだけど、コイツに関しては何もない。

悪いところしか知らないぞ……?

おだてられるところが何もない……。

 

とりあえず僕は黙った。

ただ黙ってじっとした。

気まずい沈黙に友人のビールがすすむ。

僕はそれを見逃さない。

 

「いや~いい飲みっぷりだな!」

 

決まった、これはおだてランクでもそうとう上位のおだてなんじゃないか。

 

「いや…そうでもないだろ。っていうかお前どうした?全然飲んでないけど体調でも悪いの?」

 

全然だめだった。むしろ心配されてしまった。

いや、心配されたということは『アレ』がいけるか…!

  • 少し甘えてみる

 

「いや~ちょっとダメかもしれない…」

「じゃ帰っていいぞ」

 

ダメだった。

コイツは人間的にダメなやつなのだ。

人のことを思いやる気持ちもなければ、頭も悪い、どうしようもないやつなのだ。

甘えるのもダメとなるとやはりおだてるしかないが、どうやっておだてる…?

知能も性格も褒めどころのないコイツを褒めるには、外部的要因を褒めるしかない。

たとえば、奥さんいい人だね、みたいな。

だがコイツは独身だ。

他に外部的要因は見た目だけど、お世辞にもイケメンではない。

芸能人に喩えるなら中井貴一、がCMで持ってるプルーンの木だ。

 

あと褒めることがあるとするなら、運の良さとかしかない。

そうだ、運の良さ!こいつは運だけで生きてるようなところがある。

そこをおだててみよう。

 

「お前って運いいよな~」

「そう?」

「だってこの間売ったバイク、あれ30万になったんだろ?僕に売ろうとしてた時は25万だったから、損するとこだったじゃん」

「あれな~、まあ30万超えたんだけどさ」

「はあ!?」

はあ!?!?!?!

 

「どういうこと?」

「いや、あそこパーツも買ってくれんじゃん?ちょこちょこカスタムパーツ余ってたからそれも売れて2~3万?いやー潤ったわ」

 

もはやバイク買取業者にたいして理不尽な怒りすら湧いてきた。

どうしてそんなに高く買ってしまうのだ。

圧倒的敗北感が僕を襲いつつも食事が終わる。

お会計だ。

アレをやらねば。

  • 財布を出して払おうとするそぶりを見せる

 

「?何やってんの」

「いや~ははは」

奢らんぞ

 

・・・・・

・・・・

・・・

 

僕の挑戦は終わった。

この歳になるとおごってくれる人もいなくなってくる。

もうこの先一生タダメシなんて食べられないのかもしれない。

そう考えると悲しくなったし、それに。

僕の失った5万+2~3万+今日の無駄な飲み代

トータルで10万くらい損してるのではないか……?

 

僕は友人のことをさんざんこき下ろしながら無理やり褒めたが、そんな僕はもっと下等な生物なんじゃないか?

冷えてきた夜の風が僕の懐を厳しく叩いた。

まあ古い友達と久しぶりに馬鹿なことだけ話せたから、まあいいか。

 

 

 

 

 

よくない。